ガストロノミーツーリズムの推進①— Japan Gastronomy Tourism Report|変遷と現在地 —

日本で「ガストロノミーツーリズム」という概念が定義されたのは2018年。
それから7年が経過した現在、日本におけるガストロノミーツーリズム推進の変遷と現状を整理します。

ガストロノミーツーリズム( Gastronomy Tourism) とは
「その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズム」
とされています。

2018年|日本における定義づけ
UNWTO(現 UN Tourism)、公益社団法人日本観光振興協会、(株)ぐるなびにより、日本におけるガストロノミーツーリズムの定義づけが行われました。
定義づけにあたっては、UNWTO(現 UN Tourism)が世界的に推進しているガストロノミーツーリズムの考え方が活用されました。

2022年|奈良でガストロノミーツーリズム世界フォーラム開催
日本初のガストロノミーツーリズム世界フォーラムが奈良県で開催(UNWTO 第7回 ガストロノミーツーリズム世界フォーラム)

新型コロナウィルス感染拡大のため、6月の開催が延期されましたが、12月に開催され、世界各国より観光関係者が奈良に集いました。

テーマ : Gastronomy Tourism for People and Planet: Innovate, Empower and Preserve(人と地球のためのガストロノミーツーリズム:革新し、活躍を推進して、維持する)
実施日 : 2022年12月12日(月)~15日(木)
参加人数 : 約30カ国、450人以上(国内約300人、海外約150人)
※オンライン参加:約125カ国、1,000人以上

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主催:UNWTO(国連世界観光機関)、BCC(バスクカリナリーセンター)と共催、地元主催者:奈良県、後援:観光庁/筆者撮影

Report:
第7回UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラムを開催しました | 世界観光機関アジア太平洋地域事務所

2023年3月|国の観光政策に明記
「観光立国推進基本計画(第4次)」に、インバウンド回復戦略の施策として「ガストロノミーツーリズムの推進」が初めて明記されました。

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出典:観光庁(2023年)「観光立国推進基本計画」

2023〜2025年|観光庁事業が全国で展開
2023年4月、観光庁「地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業」が開始し、令和5年度(2023年度)~令和7年度(2025年度)ガストロノミーツーリズムの推進事業が各地域で動き出しました。

 令和5年度 地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業
 令和6年度 地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業
 令和7年度 「食」の力を最大活用したガストロノミーツーリズム推進事業

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令和5~6年度「地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業」、令和7年度「「食」の力を最大活 用したガストロノミーツーリズム推進事業」採択地域  出典:観光庁

詳細:ガストロノミーツーリズムの推進 | 地域の食材を活用したコンテンツの整備 | 消費拡大に効果の高いコンテンツの整備 | インバウンド回復戦略 | 観光政策・制度 | 観光庁

2026年3月|第5次計画でも継続明記 
「観光立国推進基本計画(第5次)」においても、食の観光活用の施策として、「ガストロノミーツーリズムの推進」が継続して明記されました。

さらに、「地域の食文化や農山漁村の魅力とそれらを盛り込んだガストロノミーツーリズムの一体的な発信」が農林水産業・食品産業の海外からの稼ぐ力の強化に繋がるとして、連携強化の必要性も明記されました。

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出典:観光庁(2026年)「観光立国推進基本計画(第5次)」

2026年4月JNTO戦略へ組み込まれる
JNTO(日本政府観光局) 新たな「訪日マーケティング戦略」を策定し、特定テーマ旅行として「ガストロノミーツーリズム」が組み込まれました。

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出典:JNTO(日本政府観光局)新たな「訪日マーケティング戦略」

詳細:global-projects-theme_202604.pdf

 2023年度から2025年度にかけて、観光庁による「地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業」が日本各地域で展開され、日本各地で食、食文化を軸とした観光地域づくりが本格化した。
 また、「観光立国推進基本計画(第4次・第5次)」においても、「ガストロノミーツーリズムの推進」は継続的に位置づけられ、地方誘客、消費拡大、持続可能な観光地域づくりにつながる重要施策として扱われている。   
 さらに2026年、JNTO(日本政府観光局)は新たな訪日マーケティング戦略において、「ガストロノミーツーリズム」を特定テーマ旅行として位置づけた。 
 定義づけから7年を経て、日本のガストロノミーツーリズムは、概念形成の段階から、実装・推進のフェーズへ移行しつつある。今後は、地域における理解の深化とともに、食文化資源を活かした実践的な取組の広がりが期待される。

【参考文献】
・観光庁(2023年)「観光立国推進基本計画」
・観光庁(2026年)「観光立国推進基本計画」

画像は「ぶどうづくり」の体験の様子。気候変動により、甘いぶどうをつくるのも一苦労という声が印象的でした。

Gastronomy Tourism Report #01
by Gastronomy Tourism Institute
(ガストロノミーツーリズム研究所)

ガストロノミーツーリズムの推進①— Japan Gastronomy Tourism Report|変遷と現在地 —|ガストロノミーツーリズム研究所

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