Gastronomy Tourism‐インバウンドの課題である地方誘客・消費額向上へ‐

日本は観光先進国に向かい進んでいます。

観光は、日本の成長戦略の柱、地域活性化の切り札とされており、2023年3月31日に閣議決定された観光立国推進基本計画では、インバウンドの回復戦略として、「ガストロノミーツーリズムの推進」「酒蔵ツーリズムの推進」が明記されました。

UN-Tourism(国連世界観光機関)の発表によると、訪日外国人旅行者数は、新型コロナウィルス感染拡大前の2019年の水準に向け早い回復を示しており、2023年度の世界の旅行者数は2019年度の90%まで回復し、2024年は2019年の水準を超えるだろうといわれております。日本へのインバウンド旅行客も毎月拡大しており、2030年の訪日外国人旅行者6000万人の目標に向け順調に推移していくと思われます。

私の海外の友人たちも、2、3年ぶりに日本を訪れることができ、飛び跳ねて喜んでいました。日本は彼らにとってそれほど魅力がある国なのです。

一方、日本のインバウンドの課題として挙げられているのが、地方への誘客と旅行者の消費額向上です。訪日外国人の消費額を見ると、2018年の4兆5189億円に対して、2019年は4兆8135億円に留まっており伸長していません。日本政府は2030年の目標として、訪日外国人の消費額15兆円を掲げていますが、消費額向上への具体的な施策が必要です。

私はガストロノミーツーリズムが観光における地方誘客、消費額向上に大きく寄与する施策の一つだと考えています。なぜなら、ガストロノミーツーリズムは地域の食文化を楽しむ体験であり、まだまだ発展途上だからです。
訪日外国人の消費額の内、飲食費に注目をしてみると、2018年は9,783億円、2019年は1兆397憶円であり、全体の訪日外国人消費額の21.6%を占めています。

私自身、2013年より飲食店のインバウンド施策を取り組んできましたが、訪日外国人の飲食費および食における消費額は、2つの理由で大きく向上させる余地が十分にある、と思っています。

まず、外食企業がインバウンドの事業戦略をしっかり立て計画的に旅行者を取り込んでいくことです。観光客は早い時間帯や遅い時間帯でも来店しますので、時間を効率的に活用し、食を楽しんでいただくことで1日の来店数及び消費額を向上することが可能となります。

2つ目が、飲食店の経営者や料理人・シェフ、生産者、体験事業者など地域の事業者が主体的に食文化体験プログラムを創造することです。食文化体験という新たな価値を提供することが、消費額の向上、事業者の継続経営、地域の発展に繋がります。ガストロノミーツーリズムは、飲食店でのメニューの提供だけではなく、生産者(農業、漁業)、加工業者、食関連企業、お土産などの小売業が関係する地域一体型のツーリズムとされています。地域において、食や食文化に関わる関係者と協力、連携することにより新たな拡がりや、新たな価値を創造することができます。

 UN-Tourism(国連世界観光機関)は、世界的にガストロノミーツーリズムを推進しており、2015年より毎年「ガストロノミーツーリズム世界フォーラム」を世界各国で開催してきました。2022年12月には日本で初めて奈良県でガストロノミーツーリズム世界フォーラムが開催されました。日本には地理的・歴史的・文化的背景が十分にあり、ガストロノミーツーリズムを推進する素地が十分に備わっています。そして、長い歴史の中で各地域の伝統や習慣、郷土料理などが今も受け継がれています。

地域の食文化を楽しむ食文化体験、ガストロノミーツーリズムに目を向けることは、私たち自身が自分の地域の歴史や文化を楽しむことにつながる、と感じています。

Gastronomy Tourisim Institute
ガストロノミーツーリズム研究所 CEO 杉山尚美

お問合せ:gastronomynaomi@gmail.com

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